日本の企業でお勤めの中には、これから海外駐在員を目指す方や、駐在に興味のある方も多いと思います。
もちろん、業務内容は会社や国によって中身は大きく異なりますが、こちらの記事ではそんな駐在員の仕事内容のイメージを掴みやすいよう、平均的なオフィスワークの1日をタイムライン形式でご紹介します。
また、駐在員8年目のアビクラの経験から、駐在員サバイバル(処世)術もちょこちょこご紹介いたしますのでご参考までに見て下さいね。
特に、下記のような疑問をお持ちの方にオススメの記事となっています。
- 駐在員の業務内容がもっと知りたい
- 日本との業務内容の違いが知りたい
- 実際駐在員ってやっぱり忙しいの?ブラックなのか気になる
- ローカルスタッフ(現地人)と働くのってどうなのか気になる
- 駐在員のサバイバル処世術ってある?
より仕事内容をイメージしやすいようにアビクラの簡単なのプロフィールもご紹介しておきます。
- 30代後半
- 日系メーカー・フランス現法
- 営業・マーケティング部門マネジメント
- 現地法人の規模 約250人
- 現地法人の年間売上高 約70億円
- 現法の日本人はアビクラ1人(= ボッチ駐在)
それでは早速行きましょう!
オフィスワークの一日
起床して会社へ移動
東京にいた時は雨風関係なく最寄り駅まで歩いて、満員電車のキツい通勤をしていました。ただ海外(フランス)駐在では、社用車で通勤することができるので、朝に余裕が持てるようになりました。歩くことが減って運動不足になりがちなのはネックですが、ストレスフリーに会社に行けます。(週末や平日のアフターファイブにランニングなど運動をして解消しています)
朝一は日本とのメールチェック(ヤバい案件は早めに!)
会社に到着すると、まずは日本からのメールをチェックしています。
フランスは日本との時差が8時間(サマータイムでは7時間)あるため、日本とのやりとりの多くはメールがメインです。ただ、急ぎ会話が必要な緊急案件や会議などもあり、早朝にセッティングしてやっつけます。お偉いさんが入る場合は朝6時からといった会議もあり、シンドイこともありますね笑。
とりわけ、日本など遠い国を巻き込んで解決が必要なトラブル案件は、電話やリモート会議での即アクションが必須です。メールのピンポンラリーをしていると時差であっという間に数日たってしまうので命取りです。
- 時差の関係で日本や他大陸とのコミュニケーションはメールがメイン
- ヤバい案件は時差を考慮して即アクション!
かたやフランス人はキッチンで優雅に朝カフェをしていて、まだ始動してません笑。
午前中 ローカルスタッフと業務を確認(ボッチ駐在はツライよ)
基本的にはボッチ駐在となりますので、全ての業務を自分でこなすことは出来ません。
アビクラは営業側の派遣員なので、営業・マーケティング・開発・業務・総務・経理などの領域をカバーする必要があり、言葉を変えれば何でも屋です。
当然、各部署のポストにはローカルスタッフがいるわけで、実際に駐在員が実務を回すことは少なく、顧客、日本本社や地域統括との会話や業務も彼らが主体になって進めます。
が、日本とは違って十分に実務経験や知識がないスタッフが大半なので、ローカルスタッフに手に負えないトラブルシューティングのお役目は駐在員に回って来ます。
(本社の人間が上手くローカルとコミュニケーションできずに駐在員に直接きいてくるともあり、何のことがサッパリわからないことも。。)
つまり、期限が迫ったニッチもサッチもいかないアツアツの案件を渡されるわけで、「なんで今更いってくるん??」といったムカつく案件がてんこ盛りです笑
駐在員が多い国であれば協力しながら凌いだりすることができますが、ボッチ派遣員だとそれを一人で受け止めて処理しなければならないのはデメリットです。
- ローカルスタッフの実力は思ったより低い
- ボッチ駐在員は何でも屋、トラブルがあったら一人で即出動
昼食(スタッフとコミュニケーションしとくとラク)
ローカルスタッフと一緒にランチへ。
アビクラはコミュ障ぎみなので、気軽に一人でランチに行けた方が気が楽ですが、コミュニケーションも兼ねて一緒に食べるようにはしています。
近くのお店でテイクアウトすることが大半ですが、スタッフの誕生日やお祝いと重なると、レストランで2時間くらいかけての長時間ランチへ突入します。終わるころには15:00くらになったりヘトヘトになります。泣
ローカルスタッフは大体はくだらない内容で盛り上がっていますが、事務所で浮かないようにチョコチョコ会話に参加しています笑
中には10何年のベテランなどもおり、そのマーケットの専門家というようなスタッフもいます。結局、駐在員の武器は情報なので、彼らから吸収できることは素直に受け止めて改善していく柔軟性もとっても大事だと感じています。
顧客とのやりとりでの枝葉のことや前線のことは、駐在員だけでは100%把握しておくのはムリなので、スタッフに気軽に質問できる環境をつくっておくことは大事です。
- 駐在員だけで100%の情報を網羅するのは不可能。
- 前線の情報を持っているスタッフとのコミュニケーションは蔑ろにしない
午後 社内関係者との会議(ローカルと仕事をするコツ)
社内の会議はフランス語、英語を織り交ぜて進行され、メッチャ話が長いです。
会議内容は多岐にわたりますが、業務改善、販売状況、顧客からのリクエスト、新規システム導入、などなど、担当者やマネジメントと打合せ。
駐在員で現地に飛ばされて日本よりも役職が上がるため、マネジメントとしての全体を俯瞰した目線が求められます。
ローカルのプレゼンは、形容詞ばかりで具体性がないこともしょっちゅうで、例えば「コレはすごく大事だからすぐに投資してくれ!」とかいった、リクエストが曖昧で返答に困ってしまうようなことは多々あります。
どれくらい大事なの?コレをやるとどれくらい利益があがるの?いつまでにいるの?といった当たり前のことを、数字で語らせるようにしています。
やろうともしないで、すぐに駐在員のパワーでなんとかしようとしてくる輩も多いので、注意が必要です笑。
あとは実務をやったら時間が瞬殺されるので、とにかく仕事を振ります。
コミュニケーションのみならず、アビクラが考える駐在員がローカルスタッフと効率よく仕事をするポイントとしては下記です。
- つかみどころのない話が延々と続くときは、バッサリ切ってポイントを聞く
- 複数メンバーで進める案件は、全体感と時間軸を明確にしてあげる
- 形容詞ではなく、数字で会話する
- 駐在員は便利屋ではないことを理解させる
- 実務は極力やらない、とにかく仕事を振る
駐在員同士のプロジェクト会議(キーマンは誰だ!)
多くの仕事が社内だけで簡潔することは稀で、姉妹会社や本社と横串で進めるプロジェクトも多い海外現地法人。そのため、打ち合わせに向けた準備はかなり時間を取られます。
ボッチ駐在員は、他の駐在員や本社と物理的に離れていることや直接会話することが少ないことから、下手すると「ちゃんとやってんのか?」といった印象を持たれやすいです。
対策として、頻繁な経過報告や会議では最初の方に質問やコメントする、といったやってます感をアピールすることはとても大事です。
また、型式張った社内会議に向けた資料作りも相当骨が折れます。グラフ一つでも数値の整合性やらロジックやらで、コンサルが作るような美しいパワポに憧れの毎日です。
前日に焦りたくないことや魂を細部に宿らせるためにも、日々の中で時間を決めて少しずつ作業をしておくことを意識しています。
途中経過を上司や自分にとってのキーマンに報告をする場合、ある程度形になってから報告しよ!、としてしまいがちですが、そのワンステップの間に、「コレどうなってる?」とか「こんなん来てるけど聞いてる?」と先手を打たれることもありがちです。
これは同じ仕事をしていても印象が下がります。
(私も人間なので)現地社長やプロジェクトオーナーなどのキーマンへの報告は先手必勝、メールでは他の仕事を無視してでも即レスすると決めてます。
- やってます感を出すため、定期的にメールや会議体ではアピールしとく
- 重要資料は、毎日チョコチョコやる(追い込み作業はやらない)
- 自分とってのキーマンへは、途中でもとりあえず報告して先手を取る。
定時で会社を出る!
サラリーマンに求められる仕事はすでに前任者がやってきたことの踏襲なので、24時間では足りないといったことは少ないと思います。
日本や駐在当初は、連日21時以降まで残業するケースも多く、メンタル・フィジカル共に削りながら仕事をしていました。当時はガッツリ自分で100%実務をやっていたり、勉強しなくてはならないことも多かったです。
サラリーマンも10年を超えてくると仕事の全体図もわかり、駐在員のポジションも相まって、極力多くのヒトを巻き込んで進める仕事のやりかたが身に付いてきたという側面もあります。
今はほとんど残業はしていません。理由は家族ができたことと他にやりたいことも出てきたため。
定時ダッシュをコミットしてアフターファイブの家族時間や、ブログ作業などに充てています。
- 残業は生産性が高くない(駐在員は残業代込みでコスパ悪)
- 時間がないのは言い訳で、やりたい・やるべきことがあれば工面できる
まとめ
いかがだったでしょうか。
駐在員の仕事内容やローカルスタッフとの付き合い方などをご紹介しました。
まとめると、駐在員はポジションが一段あがることからマネジメントとしての役割が期待されます。
そんな一段上の職務を全うするためには、日本での実務経験を活かし、どうしたらローカルスタッフと一緒に大きな成果を上げられるか、成果をあげるために本社や社内のキーマンとどうやってチームワークをこなしていくかを自分の頭で考えて行動することを強いられてきました。
色々と自身の苦い経験から処世術もそこそこ蓄積はされてきましたが、それ以上に家族や自分のやりたいことを考えて行動していくことがサラリーマンとて大事だと考えています。
現地からは以上です。